事務局から弁護士へ質問(12)-なぜ、日々顧問弁護士に相談すると良い?
前回は、役員等の会社に対する責任の減免(責任限定契約)について聞き、取締役にも責任を免れる方法があることを知り、安心しました。また、それ以上に、企業と株主の関わりについても学ぶことができ、会社を取り巻く環境がだんだん理解できたような気がします。今回は、弁護士に日常的にご相談することがいいのはなぜなのか、聞いてみました。
事務局S 前回、企業が、弁護士に対して、日常的にご相談頂くことがいいという話題がでましたが、日常的に相談するのがいいのはなぜですか。相談がないほうが、企業の運営はうまくいっているというイメージがありますが、そうではないのですか。
今 津 二つの側面があると思います。まず、①トラブルが発生した後のご相談は、紛争が発生しなければする必要がありません。
事務局S はい。
今 津 一方で、②トラブルを予防するためのご相談は、企業が弁護士にご相談することによって、トラブルが発生する可能性を小さくし、企業がより安定的に発展していくためのものです。
紛争が発生してから弁護士に相談するのはもちろんですが、紛争を予防するためにも、ぜひ日常的に弁護士に相談されることにより、弁護士を活用して頂ければと思います。法律事務所としても、顧問弁護士事務所として、日常的にご相談いただいているほうが、より的確なアドバイスを、迅速に提供させて頂くことができるようになります。
事務局S なぜ、日常的に相談すると、より的確で迅速なアドバイスをできるようになるのですか?
今 津 ①その企業が取引先との間でどのような契約を締結しておられるのか、②どのような製品やサービスを提供しておられ、どのようにお金が流れていくのか、③どのような問題が発生しやすいのかなどについて、日常的なご相談を受ける過程で、弁護士が理解を深めていくことが可能となるためです。
事務局S なるほど。ですが、日常的にといっても、具体的にどのような場合に相談してよいのか、よく分かりません。
今 津 主には、①企業のお客様がこれから新たに契約を締結する又は契約を更新する時、②新しい事業を開始する時にその事業が法令に適合しているかどうかを検討する場合、③トラブルにはなっていないもののトラブルが発生するかもしれない場合、を挙げることができます。
事務局S なるほど。契約書の重要性については、事務局から弁護士への質問(1)、(2)、(3)、(4)、(5)などで聞いたところですね。相手から提案を受けた契約書や相手へ提案する契約書をしっかりと検討することが、トラブルの防止につながるのですよね。
今 津 そうですね。
事務局S 新しい事業が適法なのかどうかは、判断が難しいですよね。そのようなことも相談してもいいのですね。
今 津 はい。そういったこともよくご相談頂いています。新しい事業が適法であるのかどうか、又は企業が対応しなければならないことが何かなどについて、個人が日常生活上の常識で判断することは困難です。そこで、企業の社長様や担当者の方には、思わぬトラブルが発生しないようにするためにも、判断に迷われた場合は弁護士に相談して頂きたいです。新しい事業が適法かどうかについてご相談を受けた際は、そのままでは適法ではない場合であっても、目的を達成するために、別の方法がないかなど、検討させて頂いています。
事務局S トラブルにはなっていないもののトラブルが発生するかもしれない場合とは、どのような場合ですか?
今 津 例えば、契約書に関して相手方と認識が異なっている場合や、製品に問題が見つかって損害が発生する可能性がある場合などですね。初期の対応がトラブルへの発展を防止できることがあります。
事務局S なるほど。日常的に法律や契約書に触れている弁護士に相談することが大切なのですね!(次回に続きます。みなさま良いお年をお迎えくださいませ。)