事務局から弁護士へ質問(2)-契約ってなに?
前回、今津へ質問していく中で、契約書の重要性に気付くことができました。今回は、その「契約」について聞いてみました。
事務局S 契約書に書いてあることは絶対なのですね。
今 津 絶対とまでは言えませんが、企業が契約を締結した以上は、実際にはその内容をよく理解していなかったとしても、理解していたとみなされることがほとんどと思います。
事務局S そもそも「契約」とは何なのでしょうか?
今 津 一言でいうと、契約とは、合意によりお互いの権利と義務を定めるものです。
事務局S 契約にはどのような種類がありますか?
今 津 合意の内容によって、売買契約、請負契約、業務委託契約、運送契約、機密保持契約、合併契約、事業譲渡契約、合弁契約など、たくさん種類があります。
事務局S 企業は、普段、どのような契約を締結しますか?
今 津 日常的には、取引先との間で、継続的な取引に適用される基本契約を締結した上で、個々の取引の際には発注書と請書などで個別契約を締結する場合が多いです。
事務局S 基本契約ですか。
今 津 はい。継続的に取引をする場合、個々の取引のたびに、詳細な契約書を作成し、交渉し、締結することは手間ですよね。そこで、基本契約において基本的な事項を決めたうえで、そのルールにのっとって、個々の取引を行います。売買契約、請負契約、業務委託契約、運送契約などが、基本契約と個々の取引という形式で実行されることがよくあります。
事務局S なるほど。継続的に取引を行わない関係の場合はどうしますか?
今 津 その場合には、基本契約は締結せずに、個別の契約のみを締結することになります。先ほどの例でいうと、合併契約、事業譲渡契約、合弁契約などですね。もちろん、不動産の売買と建築のように1回のみの売買契約や請負契約もあります。
事務局S 発注書と請書などで個別契約を締結するとのことでしたが、発注書と請書でも契約になるのですか?
今 津 なります。合意によりお互いの権利と義務を定めていれば契約です。
事務局S 確認書や合意書、覚書、メモランダムといった表題の文書はどうですか?
今 津 そのような表題の文書でも、合意によりお互いの権利と義務を定めていれば、法的な効果に変わりはなく、契約になります。逆に、契約書という表題の文書でも、合意によりお互いの権利と義務を定めていなければ、契約ではありません。
事務局S 確認書、合意書、覚書、メモランダムであっても法的な効果があるのですね。
今 津 内容によりますね。合意によりお互いの権利と義務を定めていれば、法的な効果があります。
事務局S なるほど。お互いの権利と義務を書面に記載された書面が「契約書」ということですね。
今 津 はい。その契約書を作成したり修正したりすることは、法律事務所において大きな割合を占める業務です。(次回に続きます。)