事務局から弁護士への質問(26)-不動産に弁護士の関与は必要?(賃料改定その2)
事務局S (「事務局から弁護士への質問(25)-不動産に弁護士の関与は必要?(賃料改定その1)」からの続き)どのような場合に賃料改定を請求することができるのですか?
今 津 借地借家法に定められています。建物の賃貸借や借地契約において、原則として、①固定資産税などの増減、②不動産価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動、又は③近傍類似・同種の不動産の賃料に比較して、「不相当」となった場合に、賃料の増減請求が認められることになります(借地借家法11条、32条)。
事務局S 物価が上下した場合ということですか?
今 津 不動産と関係のない物価の上下は要素ではありませんが、不動産価値の上下は要素の一つですね。
事務局S 地価は1年で変わるようなイメージなのですが、例えば、去年、合意して賃料を増加していて、今年も地価が上がったとします。貸主が、この賃料では見合わなくなったからと言って、また賃料の増加を請求することは可能なのですか?
今 津 裁判所は、不動産鑑定評価基準の定める評価方法である、差額配分法、利回り法、スライド法、賃貸事例比較法などに基づいて、「相当賃料額」を判断することになります。裁判所は、昨年合意により賃料を増加したといった事情も考慮するとは思いますが、「相当賃料額」が、現在の賃料よりも高いのであれば、増額請求は認められることになります。なお、調停前置主義といって、訴訟を提起する前に、まず調停を申し立てなければなりません。それでも合意が成立しなければ、訴訟において争うということになります。
事務局S 裁判所は、専門家の意見などを聞きますか?
今 津 訴訟においては、主に裁判所の公的鑑定などに基づいて、裁判所が「相当賃料額」を認定することとなります。
事務局S 公的鑑定というのはなんですか?
今 津 公的鑑定は、裁判所が選任した鑑定人が行う鑑定をいい、高い証拠価値が認められています。賃料の鑑定は不動産鑑定士により行われます。
事務局S そうなのですね!弁護士も裁判所も、このような場合に不動産に関与しているのですね。色々な制度があって、普通に生活をしていたら知らないことばかりで驚きました!(次回に続きます。)