事務局から弁護士へ質問(5)-1.契約の期間はどれくらい?
前回は、弁護士が契約書を作成する際に意識していることを聞いてみました。普段、弁護士がどのようなことを意識しながら仕事をしているのか、あまり聞く機会がないので、とても興味深く思いました。将来AIを導入するという夢も聞くことができ、今後がとても楽しみです。今回は、継続的な契約の期間や、よく耳にする「秘密保持契約」などについて聞いてみました。
事務局S 企業が締結している契約の期間はどの程度の長さですか?
今 津 企業が、継続的な取引を行っていて、取引の相手方と基本契約を締結している場合、概ね、有効期間を1年間としていることが多いように思います。そのうえで、どちらかが更新を拒絶しなければ、自動的に更新すると定めることもよくあります。一方で、継続的な取引ではなく、例えば、不動産の売買契約など、一回一回の契約は、契約の有効期間を定めないことが多いです。
事務局S そうすると、企業が、継続的な取引を行う場合、取引先と契約をいったん締結すると、ずっと同じ内容のままということになりますか?企業は、どのようなタイミングで、新しい内容の契約を締結することになりますか?契約書の見直しはどのくらいのペースで行うのがよいですか?
今 津 企業が取引先と新しい契約を締結するタイミングとしては、①新しく取引を開始する時、②既存の取引に加えて、何らか新たな取引を追加する時、③すでに取引を開始しているものの、契約書を作成していない場合、④既存の契約の更新時期などに新しい契約を締結するよう提案するとよいと思います。
事務局S すでに取引を開始しているのに契約書を作成していない場合もあるのですね。
今 津 契約書を作成せずに、発注書のみで取引をしていることは、まだあります。特に、業界の歴史が長く、新規参入もあまりなく、決まった取引先と取引を行っているような場合に、多いように思います。