事務局から弁護士への質問(28)-弁護士が相続で不動産に関わる?(遺言その2)
前回は、遺言には、普通の方式によるものとして、①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言の3種類があることを聞きました。
事務局S 遺言は、それ以外にも種類があるのですか?
今 津 普通の形式ではなく特別の方式によるものもあります。例えば、死亡の危急に迫った者の遺言や在船者の遺言などで、特殊なものです。
事務局S では、普通の方式による遺言のこと聞きますね。
今 津 はい。
事務局S ①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言は、それぞれどのように違うのですか。
今 津 まず、①自筆証書遺言は、その名のとおり、遺言者が、自筆で作成するものです。自筆証書遺言は、遺言者が、全文、日付及び氏名を自書(全て自分で手書き)しなければなりません。また、実印(印鑑登録したもの)である必要はありませんが、印鑑を捺す必要もあります。
事務局S 例えば、本文の一部が手書きではなく、印刷されたものであれば、どうなりますか?
今 津 法律上の要件を満たさないため、遺言は無効となります。
事務局S では、遺言者の子が代筆した場合はどうですか?
今 津 同じく、遺言は無効です。
事務局S 遺産に不動産がある場合など、何ページにもわたる遺言となる場合もありますよね。そういった場合でも、全てを自分で手書きしなければならないのですか?
今 津 そうです。不動産の所在地なども含めて、全部、自分で手書きしなければならないというのが自筆証書遺言です。
事務局S 日付が、遺言を実際に作成した日と異なっている場合はどうですか?
今 津 最高裁の判例上、遺言には、真実遺言が成立した日の日付を記載する必要があります(最高裁昭和52年4月19日第3小法廷判決)。
事務局S では、実際の作成日と、記載した日付が数日ずれたといった場合でも無効なのですか!?
今 津 記載された日付が遺言の作成日であると言えるような場合や例外的な場合を除いて、遺言は無効になると考えます。
事務局S かなり厳しいですね…。(次回に続きます。)