事務局から弁護士への質問(27)-弁護士が相続で不動産に関わる?(遺言その1)
前回までは、④賃料改定について聞きました。今回は、⑤相続に関係する場合です。相続のトラブルは、発生してみないと分からないことが多いと思います。トラブル回避のためにどのような対策をして、どのようなことを弁護士に相談すればいいのか聞いてみました。
事務局S 相続問題が発生する前に、弁護士が不動産に関与する場合はどのような場合がありますか?
今 津 相続問題が発生する前というのは、相続トラブルを回避するためにということですね。弁護士は、遺言の作成のお手伝いをすることが良くあります。
事務局S なぜ遺言の作成と不動産がかかわるのですか?
今 津 不動産は一般的に高額であり、相続財産に占める割合も大きいです。残された相続人が不動産をどのように分けるかで争いが生じることもよくあります。そこで、遺言を作成することで、予め誰にどの不動産を相続させるかを定めておくことができます。遺言は、遺言をする方(相続財産の所有者であり、被相続人とも言います)が自ら決めたことですから相続人の納得が得られやすく、また遺産分割も必要なくなるため、相続人間のトラブルを少なくすることができます。
事務局S 遺言には、どのような事を記載しておけば、トラブルを回避することができるのですか?
今 津 抽象的には、遺言を作成する方が、後のことを様々に想像し、明確に記載しておくことと言えると思います。具体的には、一言で説明するのは簡単ではありません。
事務局S 遺言に関する書籍も多く出版されていますし、簡単に準備できそうですよね。
今 津 書籍を参考とすることも一つの方法です。ですが、遺言については、法律により作成方法について形式的な要件が定められています。要件を満たしていないと無効となってしまう場合が多くあります。また、どのような遺言を作成するかは、具体的な状況によって異なります。そこで、ご判断に迷われるようなことがあれば、専門家である弁護士に相談していただくのが良いと思います。弁護士を遺言執行者として指定されることも多いですよ。
事務局S …(遺言執行者については次回以降に聞くとして)、遺言には何種類くらいあるのですか?
今 津 普通の方式によるものとしては、①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言の3種類があります。(次回に続きます。)