法定相続情報証明制度について(1)
事務局の立場から、相続における戸籍謄本等の取得に関連して、法定相続情報証明制度についてご紹介します。
相続手続において、金融機関や登記所(法務局)は、相続人に対し、多くの場合、相続人の範囲を明らかにするための戸籍謄本等の原本一式(法務局は戸籍謄本の束と呼んでいます)の提出を求めます。
三菱UFJ銀行「ご用意いただく書類」
https://www.bk.mufg.jp/tsukau/tetsuduki/sozoku/shorui.html
法務局「所有権移転登記申請書(相続・法定相続)」5頁(注6)
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001207252.pdf
そのため、被相続人が多数の預金口座や不動産を所有していた場合、相続人は、各金融機関や登記所に対し、その都度戸籍謄本の束を提出する必要があります。
例えば、次のような流れで相続手続を進めることになります。
①A銀行へ戸籍謄本の束を郵送又は窓口で提出後、原本還付を受ける
②B銀行も①と同様
③C銀行も①と同様
④D法務局に戸籍謄本の束を提出し、相続登記完了後、原本還付を受ける
⑤E法務局も④と同様
この場合、相続人は、各金融機関や登記所に対して順番に戸籍謄本の束を提出して、原本還付を受けることとなり、時間と手間が必要となります。
なお、上記の例では、相続人は、戸籍謄本の束を5束分取得しておけば、①~⑤の相続手続を同時に進めることが可能です。しかし、戸籍謄本の取得には費用がかかるため(通常は戸籍謄本1通450円、除籍謄本1通750円)、一般的に、戸籍謄本の束を複数取得して同時に相続手続を行うことは多くないと感じます。
(つづく)