法定相続情報証明制度について(2)
事務局の立場から、前回に引き続き、法定相続情報証明制度についてご紹介します。
前回は、被相続人が多数の預金口座や不動産を所有していた場合の相続手続において、相続人は、各金融機関や登記所に対して順番に戸籍謄本の束を提出して、原本還付を受けることとなり、時間と手間が必要となることをご紹介しました。
このような不都合を解消するための制度として、法務省は、平成29年5月29日から、法定相続情報証明制度を開始しました。
法務局「法定相続情報証明制度」について
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html
法定相続情報証明制度とは、相続人が、登記所に対して戸籍謄本の束を提出し、併せて相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を提出することにより、登記官がその一覧図に認証文を付した写しを無料で必要な通数分交付するという制度です。
相続登記においては、法定相続情報一覧図の写しは、戸籍謄本の束に代えることができる旨が規定されています(不動産登記規則37条の3)。
また、大手三行(三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行)も、各ホームページの相続手続の案内ページにおいて、法定相続情報一覧図の写しは、戸籍謄本の束に代えることができる旨を掲載しています。
さらに、相続税の申告においても、国税庁は、平成30年4月1日以降に提出する申告書類から、法定相続情報一覧図の写しは、戸籍謄本の束に代えることができる取扱いとしました。
国税庁「相続税の申告書の添付書類の範囲が広がりました」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/shikata-sozoku2017/pdf/h30kaisei.pdf
このような法定相続情報一覧図の写しの取扱いにより、相続人は、法定相続情報一覧図の写しを提出すれば、金融機関や登記所に対して順番に戸籍謄本の束を提出して、原本還付を受けるといった手続が不要となり、負担が軽減されることとなりました。
また、提出先の金融機関や登記所も、戸籍謄本の束を確認する手間がなくなり、負担が軽減されることになります。
(つづく)