戸籍の種類について(1)
事務局の立場から、5月21日の「相続における戸籍謄本等の取得について(1)」の記事でご紹介した戸籍の種類について詳しくご紹介します。
【明治5年式戸籍】
明治5年式戸籍は、明治4年に成立した戸籍法に基づいて編纂されました。
明治5年の干支が壬申(みずのえさる・じんしん)だったことから、一般に壬申戸籍とも呼ばれています。
特徴的なのは、「華族」「平民」等の身分事項や犯罪歴等が記載されていることです。これらの記載が就職や結婚の際の差別に悪用されて問題となり、法務省は昭和43年3月4日付民事甲第373号及び第777号民事局長通達で閲覧の禁止及び回収と封印を指示しました。そのため、現在では明治5年式戸籍を閲覧・取得することはできません。
なお、昨年2月に、明治5年式戸籍がオークションサイトに出品され、法務省が急遽回収するという事件がありました。
日本経済新聞社「閲覧禁止の「壬申戸籍」 ネット出品、法務省が回収」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41495190Q9A220C1CR0000/
【明治19年式戸籍】
明治19年式戸籍は、現行法上、地方自治体から取得することが可能な最も古い戸籍です。
本戸籍は、「戸籍取扱手続」明治19年10月16日内務省令第22号、「戸籍登記書式等」同日内務省訓令第20号に基づき編纂されました。
本戸籍が作成された期間は、明治19年10月16日から明治31年7月15日までとなっています。
本戸籍から、本籍地の表示に屋敷番制度(○○番屋敷)ではなく、地番制度(○○番地)が採用され、除籍制度が設けられました。
【明治31年式戸籍】
明治31年式戸籍は、「戸籍法」(明治31年6月15日法律第12号)・「戸籍法取扱手続」明治31年7月13日司法省訓令第5号)に基づき編纂されました。
本戸籍が作成された期間は、明治31年7月16日から大正3年12月31日までとなっています。
明治31年に制定された民法において家制度が規定され、戸主とその家族を1つの家に属させることになり、本戸籍より、初めて家を基本単位とする戸籍となりました。家の統率者を戸主といい、戸主は戸籍簿の筆頭に記載され、家族の扶養義務を負うことになりました。
(つづく)