相続における戸籍謄本等の取得について(2)
事務局の立場から、前回に引き続き、相続における戸籍謄本及び除籍謄本の取得についてご紹介します。
前回は、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本等が必要となるのかをご説明するために、前提として、法定相続人の範囲についてご紹介しました。
前回ご紹介したとおり、相続人の第一順位は子であることから、相続人を確定するためには、まずは被相続人に子がいるかを確認する必要があることとなります。
この点、現行の戸籍は、「一の夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する」(戸籍法6条)とされ、一組の夫婦とその子の情報が記載されています。例えば、婚姻をした場合には、その婚姻した夫婦の戸籍が新たに編製され、子が生まれれば夫婦の戸籍にその子の情報が記載されます。
しかし、被相続人が離婚をしていて前婚で生まれた子が元配偶者の戸籍に記載されている場合のように、新たに婚姻して編製された被相続人の戸籍に、被相続人の子が記載されない場合もあります。
そのため、被相続人に子がいるかどうかは、婚姻後の戸籍だけを確認すればよいわけではないということとなります。
また、戸籍は、これまで何度か改製されており、古い順に、「明治5年式戸籍」→「明治19年式戸籍」→「明治31年式戸籍」→「大正4年式戸籍」→「現行戸籍」→「コンピュータ化された現行戸籍」と改製されてきています(これらの各戸籍についてはまた後日ご紹介させて頂きます)。新しく改製された戸籍には、古い戸籍の情報がそのまま全て写されるわけではなく、戸籍を新しく写す時点で戸籍に残っている情報だけを写します(例えば、古い戸籍の期間中に亡くなった方の情報については新しい戸籍には写されません)。そのため、被相続人の戸籍が改製されていた場合には、改製された戸籍謄本等をそれぞれ取得し、子がいるかどうかを確認する必要があります。
このように、被相続人に子がいるかを確認するためには、被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本等を取得する必要があるということになります(なお、本来は被相続人に生殖能力が備わる年齢以降の戸籍謄本等を取得すれば足りるはずであり、登記に関する専門誌である登記研究の149号には15、16歳程度以降と記載されていますが、金融機関等の相続手続においては生まれてからの戸籍謄本等の提出を求めることがほとんどであると感じています)。
(つづく)