相続登記の義務化について(3)
事務局の立場から、前回に引き続き、相続登記の義務化についてご紹介します。
前回は、土地の所有者が亡くなっても相続登記がなされない具体例をご紹介しました。
相続登記がなされないまま数次相続が発生すること等により、所有者不明土地が生じる問題が発生してしまいます。このような問題を解決すべく、令和元年12月3日、法務省の法制審議会の民法・不動産登記法部会において、「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案」が取りまとめられました。
同中間試案においては、相続の発生を不動産登記に反映させるための仕組みとして次のような方策が検討されています。
・不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から一定の期間内に、相続登記の申請を義務付ける方向で検討する
・相続登記の申請義務違反者に対する過料による制裁等についても検討する
・自らが法定相続人である旨を申し出ることで、簡易に、その者の氏名及び住所を登記官が登記することを可能とする報告的な登記制度の新設について検討する
・相続登記の申請義務を履行した者に対して、費用を軽減する方策について引き続き検討する
・登記所が他の公的機関から死亡情報等を取得し、これを活用して相続登記の申請を促す取組などについて検討する
・相続人の請求により、登記官が被相続人名義の不動産登記情報を検索
・調査して、その結果を証明する制度の新設について検討する
「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する中間試案」
http://www.moj.go.jp/content/001312343.pdf
同補足説明
http://www.moj.go.jp/content/001312344.pdf
同中間試案が取りまとめられた後、パブリック・コメントの手続が令和2年1月10日から同年3月10日までの期間で実施されました。 今後、最終審議を経て、本年度中に必要な制度改正の実現を目指すとされています。