事務局から弁護士へ質問(8)-2.正しい事業って?
事務局S 弁護士は、企業が正しく事業を行っているかを確認したり、規定を正しく作成したり、規定が正しく作成されているかを確認したりしているのですね!
今 津 開始しようとしているビジネスの適法性を調査については、ご依頼を受けた事項について、「正しく」というより、適法かそうでないかを検討します。調査の結果、適法か適法ではないかという線引きが容易ではない場合も少なくありません。いわゆるグレーゾーンです。弁護士の役割は、計画している事業が適法ではない又はグレーゾーンにある場合に、事業をどのように変更や修正すれば、問題がなくなる又は問題が減少するといったことについて、意見をお伝えするところにもあります。「黒を白く見せる」とか「灰色を白く見せる」といった変な意味ではなく、同じ目的を達成する他の方法を探して提案したり、問題のある部分を取り除く方法を提案したりといった、事業からできるだけリスクを減少させることのお手伝いです。
事務局S なるほどー!
今 津 利用規約や個人情報の取り扱いについても、「正しく」というよりは、企業にとって必要な事項を定めた規約や規程を作成したり、確認するということになります。
事務局S 良くわかりました。リスクを最小限にすることは大事なことですよね。企業にとっても、想像しえないリスクはたくさんあると思いますし、法的な知識を持っている弁護士に相談することは大事なことですよね。では、企業が適法ではないことをした場合どのようになりますか。
今 津 もちろん、適法ではないことを続けることはできませんし、刑事罰がある法令に違反した場合には、処罰されることもあります。また、報道されることにより、企業のイメージが下がり、企業価値を毀損することも考えられます。さらに、企業が適法ではないことをしたことにより、企業だけではなく、そのような意思決定をした取締役個人も、損害賠償責任を負わされる場合もあります。
事務局S え!取締役個人が責任を負う場合があるのですか?そうなると、企業だけではなく取締役も困りますね。取締役は責任重大ですね。
今 津 そうですね。意図せず、企業が適法ではないことをしてしまう場合もありますから、企業は、そういった場合のリスクの回避のために、いわゆる「MRP」(マネジメントプロテクション保険)や「D&O保険」(会社役員賠償責任保険)に加入することも選択肢の一つです。(次回に続きます。)