事務局から弁護士へ質問(8)-1.ビジネスの適法性に問題がある?
前回は、企業とその従業員とのトラブル対策について聞きました。企業にとって、従業員全員が働きやすいと思える環境作りは大変ではありますが、就業規則を定期的に見直すことや、内部通報窓口(これはまた今度聞いてみます。)の設置を積極的に導入して風通しのいい会社が増えるといいなと思いました。今回は、企業にとって、トラブル予防方法として他にどのようなものがあるか聞いてみました。
事務局S 企業のトラブル予防として他にはどのようなことがありますか。
今 津 企業は、これから開始しようとしているビジネスについて、適法性を調査するなど必要な準備をする必要があります。
事務局S なぜですか?
今 津 仮に、企業が、違法な商品やサービスを提供しているということになると、その商品やサービスの販売は停止しなければならなくなります。また、企業が損害賠償の責任を負ったり、それだけではなく、報道されることなどにより、企業としてのイメージに傷がついてしまう可能性もあります。
事務局S 例えば、今まで店舗販売していたようなお店が、新しくウェブサービスを展開するような場合ですか?
今 津 そういった場合も含まれますね。例えば、新しくウェブサービスを開始する場合には、どのようなサービスかにもよりますが、①想定している商品やサービスを販売することが適法か、②ウェブサイトの利用規約、③取得した個人情報の取り扱いなどについて検討し、準備する必要があります。
事務局S ウェブサービスを利用したことがありますが、ある商品が欲しいとしたら、必ず情報の入力をしなければならないですし、利用規約に「同意」しなければ、商品購入ができないことが多いですよね。これが、以前聞いた、契約当事者の力関係ということですか。
今 津 そういった側面もありますが、企業の側からすると、ウェブサービスは、大量の利用者との間で画一的に取引できることが大きなメリットですから、利用者一人一人との間で、利用規約や個人情報の取り扱いについて個別に交渉することは、現実的ではない場合が多いです。また、個別に交渉が必要ということになれば、現在の価格での商品やサービスの提供は難しくなるでしょう。現実的には、企業が、利用規約や個人情報の取り扱いを定め、利用者にそれに同意して頂くということになります。(平成29年民法改正により定型約款の取り扱いが定められました。)