特別支配株主の株式等売渡請求(5)
事務局の立場から、前回に引き続き、株式等売渡請求の手続についてご紹介します。
4 売渡株主等に対する通知・公告
(1)売渡株主に対する通知
対象会社は、前回ご紹介した3(特別支配株主からの株式売渡請求)に係る承認したときは、取得日の20日前までに、売渡株主(株式の売渡を強制される株主)に対し、次の事項を通知しなければなりません(会社法179条の4第1項1号、2号の売渡株式の登録株式質権者については①のみ)
①株式売渡請求の承認をした旨
②特別支配株主の氏名又は名称及び住所
③特別支配株主が定めた前記1の事項
④法務省令で定める事項(株式等売渡請求に係る取引条件(会社法施行規則33条の6))
(2)売渡株主に対する公告
対象会社が上場会社の場合、対象会社は、売渡株主に対して、通知ではなく、公告しなければなりません(社債、株式等の振替に関する法律161条2項)。
対象会社が非上場会社の場合、対象会社は、売渡株主に対しては、株式譲渡制限の有無にかかわらず、公告によることはできず、個別の通知が必要です(会社法179条の4第2項かっこ書)。
(3)通知・公告の効果
対象会社が、(1)(2)の通知・公告をしたときは、特別支配株主から売渡株主に対し、株式売渡請求がされたものとみなされます(会社法179条の4第3項)。これらの通知・公告の費用は、特別支配株主の負担です(同条4項)。
(つづく)