特別支配株主の株式等売渡請求(6)
事務局の立場から、前回に引き続き、株式等売渡請求の手続とNTTによる株式等売渡請求のその後についてご紹介します。
【株式等売渡請求の手続】
5 書面等の据置き・閲覧等
対象会社は、前回ご紹介した4の通知・公告のいずれか早い日から取得日後6か月(公開会社でない会社については1年)を経過する日までの間、株式売渡請求に関する書面又は電磁的記録を本店に備え置かなければなりません(会社法179条の5第1項)。売渡株主(株式の売渡を強制される又はされた株主)は、対象会社に対して当該書面又は電磁的記録の閲覧・謄写の請求をすることができます(同条第2項)。
6 売渡株式の取得
特別支配株主は、取得日に、売渡株式の全部を取得します(会社法179条の9第1項)。売渡株式が譲渡制限株式であるときは、対象会社は、特別支配株主が売渡株式を取得したことについて、承認する旨の決定をしたものとみなされます(同条第2項)。
【売渡株主(株式の売渡を強制される又はされた株主)の保護】
その他、株式等売渡請求制度では、売渡株主を保護するために、①売渡株式の取得をやめることの請求(会社法179条の7、差止請求)、②売買価格の決定の申立て(同法179条の8)、③売渡株式の取得の無効の訴え(同法846条の2以下)を規定しています。
【NTTによる株式売渡請求のその後】
ドコモは、令和2年11月27日、NTTより、株式売渡請求を行う旨の通知を受領し(ご紹介した株式等売渡請求の手続2)、取締役会において株式売渡請求を承認する旨の決議をしたと発表しました(同手続3)。
所得日は、同年12月29日とされており、同日付で、ドコモはNTTの完全子会社になりました。
「日本電信電話株式会社による当社株式に係る株式売渡請求を行うことの決定、当該株式売渡請求に係る承認及び当社株式の上場廃止に関するお知らせ」
https://www.nttdocomo.co.jp/binary/pdf/info/news_release/2020/11/27_00.pdf