株式会社の発起設立について(1)
事務局の立場から、株式会社の発起設立についてご紹介します。
株式会社の設立方法には、発起設立と募集設立の2種類があります。
発起設立
発起人(定款を作成し、署名または記名押印した者(会社法(以下「法」)26条1項・2項))が設立時発行株式(株式会社の設立に際して発行する株式)の全部を引き受ける方法(法25条1項1号)
募集設立
発起人が設立時発行株式を引き受け、かつ設立時発行株式を引き受ける者の募集をする方法(同項2号)
発起設立は、一般的に、募集設立に比べて簡易に株式会社を設立することができます。
発起設立による株式会社設立手続の概要は次のとおりです。
①設立時発行株式に関する事項(法32条1項)、払込取扱場所(例えば、三菱UFJ銀行における発起人の銀行口座、法34条2項)等の決定
・発起人全員は、設立時発行株式に関する事項(発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数、設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額、成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項)について同意し、払込取扱場所を決定します。
②定款の作成(法26条)
・株式会社の設立登記申請は、司法書士が代理して行うことが一般的で、定款の作成も申請作業の一環として、司法書士が行うことが一般的です。ただし、出資者間の合意を定款に反映する場合など、弁護士が定款の作成、修正をお手伝いすることもあります。
③定款の認証(法30条1項)
・定款の認証とは、公証人が、正当な手続きにより定款が作成されたことを証明することをいいます。
・定款の認証は、株式会社の本店の所在地を管轄する法務局又は地方法務局に所属する公証人だけが取扱うことができます(公証人法62条ノ2)。例えば、東京都内に本店を置く株式会社の定款は、東京法務局所属の公証人(東京都内の公証役場の公証人)が認証を行います。
・定款認証の手数料は1件5万円です。また、公証人保存原本に4万円の収入印紙を貼付する必要があります(電子定款は収入印紙の貼付は不要です)。
・株式会社の設立当初の定款(原始定款)の認証は、追ってご紹介するテレビ電話方式による電子定款の認証が始まるまでは、原則として、発起人又は発起人から委任を受けた司法書士等が公証役場に行き、公証人の面前で認証を受ける必要がありました。
(つづく)