相続登記の義務化について(1)
事務局の立場から、前回の話題である不動産登記に関連して、相続登記の義務化についてご紹介します。
相続登記とは、不動産の所有者が亡くなったときに、登記されている不動産の所有権の名義を被相続人(亡くなった人)から相続人に変更する手続きのことをいいます。
相続登記を申請する方法は、法務局のホームページによれば、以下の4つの場合に分けられます。
①遺言書による相続
②遺産分割協議による相続(相続人全員で話し合いをする場合)
③数次相続が発生している場合(遺産分割協議によるもの)
④法定された割合による相続(民法に定められた相続割合で相続する場合)
法務局「不動産の所有者が亡くなった」
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/fudousan4.html
このうち、 ③の数次相続とは、例えば、被相続人Aさんが亡くなったあと、Aさんが所有していた不動産の相続登記を行わないうちに、Aさんの相続人である子のBさんが亡くなってBさんの相続が開始されるというように、不動産の相続登記を行わないうちに、相続が2回以上重なってしまうことをいいます。Aさんが亡くなったことによる相続開始を1次相続、Bさんが亡くなったことによる相続開始を2次相続といい、3次相続、4次相続と続いていく可能性があります。
近年、数次相続のように、土地の所有者が亡くなっても相続登記がされないこと等を原因として、不動産登記簿により所有者が直ちに判明せず、又は判明しても連絡がつかない所有者不明土地が生じ、その土地の利用等が阻害されるなどの問題が生じています。
土地の所有者が亡くなっても相続登記がなされないことについては、様々な原因が考えられますが、現行法においては相続人に相続登記の申請義務がないことや、価値の低い土地を相続した場合には登記申請の手続的な負担に見合わないこと等が考えられています。
(つづく)