外国会社が日本へ進出する際の商業登記について(3)
事務局の立場から、前回に引き続き、外国会社が日本へ進出する際の商業登記についてご紹介します。
前回ご紹介したように、外国会社が日本へ進出する際には、多くの場合、日本法人の設立が選択されていると感じております。
もっとも、外国会社が出資して子会社である日本法人を設立するに場合には、日本国内の親会社が出資して子会社を設立する場合とは、異なる添付書類の提出が必要となります。
例えば、アメリカでは、日本における印鑑証明書がありませんので、印鑑証明書の代わりとしてサイン証明書の提出が必要となります。サイン証明書とは、サインが本人のものであることについて本国官憲(公証人(notary public) 等 、当該外国において認証権限を有する者)が作成した証明書のことをいいます。
そして、サイン証明書は、当該外国人が居住する国等に所在する当該外国人の本国官憲が作成したものでも差し支えないこととされています。つまり、当該外国人がアメリカに居住していない場合は、居住している国のアメリカ大使館で作成してもよいということになっています。
平成28年6月28日民商第100号通達(平成29年2月10日民商第15号通達により一部改正)
http://www.moj.go.jp/content/001203910.pdf
その他、外国人の商業・法人登記の手続きについては、法務省の以下のホームページが参考となります。
例えば、従来は、外国会社の日本法人の代表者は日本に居住している代表者が必要でした。そのため、外国会社は、日本に日本法人を設立する場合、日本に居住している日本人又は外国人を代表取締役の1人にしなければなりませんでした。
しかし、平成27年3月16日、代表取締役のうち、最低1人は日本に住所を有していなければならないという従前の取扱いは廃止されました。したがって、現在では、日本法人の代表取締役が、外国に居住している外国人だけでも問題ありません。
ちなみに、外国に居住している外国人の氏名・住所はカタカナで登記されます(会社名はローマ字で登記が可能です。)。
外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00104.html