会社法上認められている訴訟の管轄(2)
(前回からのつづき)
例えば、神奈川県横浜市を本店所在地とする株式会社Aと取締役が、会社Aの取締役に対する責任追及訴訟の合意管轄裁判所を東京地方裁判所とするという内容の契約を締結していたとしても、この会社Aの取締役に対する責任追及訴訟については、東京地方裁判所は管轄権を有せず、横浜地方裁判所のみが管轄権を有することになります。
次に、登記簿上の本店所在地は神奈川県横浜市であるものの、実質的な営業の本拠地は東京都中央区であるという、株式会社Bがあるとします。会社Bについて、本店所在地が専属管轄裁判所であると定められている上記の訴えにおいて、裁判権を有するのは、横浜地方裁判所でしょうか、それとも東京地方裁判所でしょうか。
この点については争いがあるところですが、定款で定め、登記をした本店所在地を管轄する、横浜地方裁判所が裁判権を有するとすることが相当であるとされています。