会社法上認められている訴訟の管轄(1)
会社法上認められる訴訟には、専属管轄が定められている場合があります。
専属管轄とは、特定の裁判所に裁判権を専属させるものです。法律上、専属管轄が定められている場合、特定の裁判所しか審理することができません。仮に、その他の裁判所に訴えが提起された場合、裁判所は訴えを却下しなければなりません。
また、専属管轄が定められている場合には、特定の裁判所の他の裁判所には裁判権がなく、当事者間の合意により裁判権を有する裁判所を変更することもできません。
例えば、会社の組織に関する訴え(会社法835条1項、設立無効の訴え、新株発行無効の訴 え、会社の合併・分割の訴え等)、責任追及等の訴え(会社法848条、会社の取締役等に対する責任追及訴訟、株主代表訴訟)、株式会社の役員の解任の訴え(会社法856条)は、株式会社の本店の所在地を管轄する地方裁判所の専属管轄に属します。
したがって、本店所在地が東京都千代田区である株式会社について、これらの訴えが提起される場合には、東京地方裁判所のみが裁判権を有することとなり、その他の裁判所は審理することができません。(つづく)