事務局から弁護士へ質問(21)-不動産に弁護士の関与は必要?(不動産取引その2)
事務局S (前回に続いて)具体的に聞いてみますが、不動産の売買契約を行う場合に、弁護士は、売買契約のどの部分をレビューすることになるのですか?
今 津 売買契約は、二つの部分から構成されていることが多いです。①不動産売買契約書と②不動産売買契約約款です。①不動産売買契約書には、対象となる不動産の表示、代金、支払方法及び引渡日、及び「特約事項」が記載されています。②不動産売買契約約款は、通常、定型的なものを使用します。弁護士が、作成したり修正したりする部分は、主に①不動産売買契約書の「特約事項」です。
事務局S 特約事項ですか。特殊な事情がある場合にのみ記載するのですか?
今 津 定型的な、②不動産売買契約約款を使用することが多いため、約款への修正を含めて、特約事項へ記載します。ですので、通常の不動産取引であっても、特約事項へ何らかの記載があることが多いと思います。
事務局S 特殊な事情があれば、なおさら特約事項へ記載することがたくさんありそうですね。
今 津 場合によりますが、多い場合には、特約事項を数十条も作成したり、特約事項が数ページにわたるような場合もありますよ。
事務局S それは、やはり弁護士に依頼すべきですね。売主の立場で関与することが多いのですか?それとも、買主の立場で関与することが多いのですか?
今 津 どちらもあります。売主の立場としては、できるだけ過大な責任を負わないようにし、買主の立場としては、問題が発生した場合には、できるだけ売主に責任を取ってもらうようにすることが重要です。もちろん、不動産の代金との兼ね合いもあります。
事務局S 代金との兼ね合いですか?
今 津 はい。特殊な事情があるため売買代金が減額されているのに、売主に過大な責任を負わせようとすれば、契約は成立しませんよね。そういったバランスの中で、できるだけ依頼者様の利益を大きくし、損失を少なくするのが我々の役割です。
事務局S ここまでの話を聞くだけでも、お互いに曖昧なまま締結をしていることも多いような気がしました。(次回に続きます。)