特別支配株主の株式等売渡請求(2)
事務局の立場から、前回に引き続き、特別支配株主の株式等売渡請求についてご紹介します。なお、上場していない株式会社についても同様に、特別支配株主は、一定の手続を経ることで、その他の株主に対して、株式等の売渡を請求することができます。
【株式等売渡請求の内容】
特別支配株主(前回の例ではNTT)は、対象会社(前回の例ではドコモ)の株主全員に対して、その有する対象会社の株式の全部を自分に売り渡すことを請求することができます(会社法179条1項)。なお、新株予約権や新株予約権付社債についても売り渡すことを請求することができますが(同法179条2項、3項)、以下では、この点の説明は割愛します。
【特別支配株主】
特別支配株主とは、対象会社の総株主の議決権の10分の9(これを上回る割合を対象会社の定款で定めた場合は、その割合)以上を、直接有しているか、または、特別支配株主の完全子会社等を通じて有している者をいいます(会社法179条1項)。
前回ご紹介したNTTの例では、NTTは、TOBにより、ドコモの株式を91.46%保有することになりましたので、ドコモの総株主の議決権の10分の9以上を直接有する特別支配株主に該当します。
(つづく)