特別支配株主の株式等売渡請求(1)
事務局の立場から、特別支配株主の株式等売渡請求についてご紹介します。
日本電信電話株式会社(NTT)は、令和2年11月17日、株式会社NTTドコモ(ドコモ)を完全子会社化するためのTOB(株式公開買付)が成立したと発表しました。
当該TOBにより、NTTが有するドコモの株式保有率は、TOB前の66.21%から91.46%となりました。
「NTT、ドコモのTOB成立 上場廃止へ」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66307390X11C20A1EAF000
「株式会社NTTドコモ株式等(証券コード9437)に対する公開買付けの結果に関するお知らせ」
https://www.ntt.co.jp/news2020/2011/pdf/201117a.pdf
NTTは、TOBに応募しなかった株主に対して、TOBの買付価格と同額で強制的に株式を買い取る特別支配株主の株式等売渡請求を行う予定です。この手続が完了すると、NTTが有するドコモの株式保有率は100%となり、ドコモはNTTの完全子会社となります。
「株式会社NTTドコモ株式等(証券コード9437)に対する公開買付けの開始及び資金の借入れに関するお知らせ」17頁(5)参照
https://www.ntt.co.jp/news2020/2009/pdf/200929ba.pdf
特別支配株主の株式等売渡請求は、平成26年の会社法改正により新設され(会社法179条以下)、対象会社(上記の例ではドコモ)の株主総会決議を経ずに、特別支配株主(総株主の議決権の10分の9以上を有する株主、上記の例ではNTT)が、一定の手続を経ることにより、少数株主の有する株式の全部を、少数株主の承諾を得ずに、対価を支払って取得することを可能とする制度です。
次回から、特別支配株主の株式等売渡請求の具体的な内容についてご紹介します。
(つづく)