種類株式について(4)
事務局の立場から、前回に引き続き、種類株式についてご紹介します。
⑧株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会)において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とするもの(108条1項8号、同条2項8号)
株式会社は、株主総会・取締役会において決議すべき事項につき、その決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議が必要である点において、他と内容の異なる定めをした株式(拒否権付株式、黄金株といわれる場合があります。)を発行することができます。
拒否権付株式を発行する場合、株式会社は、(ア)株主総会・取締役会の決議事項のうち当該種類株主総会の決議があることを必要とするもの、及び(イ)当該種類株主総会の決議を必要とする条件を定めるときはその条件を、定款に定める必要があります。
なお、上場会社が拒否権付株式の発行を決議・決定すると、上場廃止基準に該当する場合があります(東京証券取引所、有価証券上場規程601条17号、同施行規則601条14項(3))。
⑨当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)又は監査役を選任すること(108条1項ただし書、同項9号、同条2項9号)
非公開会社(全株式が譲渡制限株式である会社)で、指名委員会等設置会社でない会社は(108条1項ただし書)、その種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役・監査役を選任することができるという内容の種類株式(取締役・監査役選任権付株式)を発行することができます。
取締役・監査役選任権付株式発行する場合、株式会社は、(ア)当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること、及び選任する取締役又は監査役の数、(イ)選任することができる取締役又は監査役の全部又は一部を他の種類株主と共同して選任することとするときは、当該他の種類株主の有する株式の種類及び共同して選任する取締役又は監査役の数、(ウ)(ア)(イ)に掲げる事項を変更する条件があるときは、その条件及びその条件が成就した場合における変更後の(ア)(イ)に掲げる事項、(エ)その他法務省令で定める事項(社外取締役・社外監査役を選任する場合の必要事項)、を定款で定める必要があります。
(つづく)