種類株式について(1)
事務局の立場から、種類株式についてご紹介します。
株式会社は、次の9つの事項について内容の異なる2以上の種類の株式を発行することができます(会社法108条1項)。
その場合、株式会社は、各種類株式の内容及び発行可能種類株式総数を定款で定める必要があります(同条2項)。
①剰余金の配当(108条1項1号、同条2項1号)
株式会社は、剰余金の配当について内容の異なる定めをした株式を発行することができます。
剰余金の配当について内容の異なる定めをした株式を発行する場合、株式会社は、当該種類の株主に交付する配当財産の価額の決定の方法、剰余金の配当をする条件その他剰余金の配当に関する取扱いの内容を定款で定める必要があります。
実務上、普通株式に先んじて剰余金の配当を受ける権利がある種類株式を「優先株式」、普通株式に遅れて剰余金の配当を受ける種類株式を「劣後株式(又は後配株式)」といいます。
(優先株式の条項例)
当会社は、第●条第●項に定める剰余金の配当を行うときは、当該剰余金の配当に係る基準日の最終の株主名簿に記載または記録されたAA型種類株主またはAA型種類株式の登録株式質権者(以下「AA型種類登録株式質権者」という。)に対し、普通株式を有する株主(以下「普通株主」という。)または普通株式の登録株式質権者(以下「普通登録株式質権者」という。)に先立ち、それぞれ次に定める額の金銭(以下「AA型配当金」という。)を剰余金の期末配当として支払う。ただし、当該基準日の属する事業年度において第●条に定めるAA型中間配当金の支払を行ったときは、その額を控除した額を支払う。
第1回AA型種類株式ないし第5回AA型種類株式1株につき、当会社に払い込まれる当該AA型種類株式の1株当たりの金額に、各AA型種類株式の発行に先立って取締役会の決議により定める率(5パーセントを上限とする。)を乗じて算出した額
(東証会社上場サービス トヨタ自動車定款より抜粋)
https://www2.tse.or.jp/tseHpFront/JJK010030Action.do
②残余財産の分配(108条1項2号、同条2項2号)
株式会社は、残余財産の分配について内容の異なる定めをした株式を発行することができます。
残余財産の分配について内容の異なる定めをした株式を発行する場合、株式会社は、当該種類の株主に交付する残余財産の価額の決定の方法、当該残余財産の種類その他残余財産の分配に関する取扱いの内容を定款で定める必要があります。
(つづく)