合同会社の設立について(6)
事務局の立場から、前回に引き続き、合同会社が選ばれ、増加している理由についてご紹介します。
3 その他合同会社が選ばれる理由
合同会社の設立が増加している理由は、以下のとおり、設立や会社維持のコストが低いことも要因となっていると考えられます。合同会社は、迅速な意思決定が可能であり、設立や会社維持のコストが低いこと等を踏まえると、初期投資を抑えながら、迅速な経営を行うスモールビジネスの起業にも向いていると考えられます。
④設立費用が株式会社に比べて安価である
合同会社の定款は、株式会社の定款と異なり、公証人の認証を受ける必要がありません。したがって、合同会社の設立登記申請者は、定款認証費用の5万円を負担する必要がありません。
また、合同会社の設立登記申請者は、合同会社の定款を電子定款にした場合、紙の定款の場合に必要となる印紙税4万円を負担する必要もありません(ただし、株式会社の場合もこの点は異なりません)。
さらに、合同会社の登録免許税の最低金額は、次のとおり株式会社よりも低く規定されています。
株式会社の登録免許税
資本金の額の1000分の7(15万円に満たないときは、15万円)
合同会社の登録免許税
資本金の額の1000分の7(6万円に満たないときは、6万円)
⑤決算公告が不要であること
合同会社は決算公告を義務付けられていませんが、株式会社は決算公告が義務付けられています(法440条)。したがって、株式会社は、決算公告を官報公告で行う場合、最低でも約7万4000円の費用が必要となりますが、合同会社はかかる費用の負担がありません。
【東京都官報販売所】
https://www.tokyo-kansho.co.jp/asp/koukoku/company/#kessan01
⑥任期の制限がないこと
株式会社は、原則として取締役の任期は2年とされています(会社法332条1項、ただし、同条2項により、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く公開会社でない株式会社は10年に伸長可能)。
他方、合同会社は、業務執行社員や代表社員の任期はありません。そのため、株式会社のように重任の登記をする必要はなく、その分の費用の負担もありません。
このように、合同会社が選ばれ、増加している理由は様々な要因が考えられますが、合同会社は、株式会社とは異なるメリットを享受することも可能です。