株主の相続人間に争いがある場合の株主としての権利行使(2)(前回の続き)
会社の株主は、株主総会に瑕疵について、①株主総会決議不存在確認の訴え(そもそも株主総会すら開かれていない場合等)、②株主総会決議無効の訴え(株主総会は開かれたものの、その決議の内容が法令に違反している場合等)、③株主総決議取消の訴え(招集手続に法令または定款違反があったり、決議内容に定款違反があったりした場合等)を提起することができます。
これらの訴えを提起するためにも、原則として、権利行使者の指定が必要ですが、例外的に、例えば、被告である会社が権利行使者の指定を要求することが信義則に反して許されない等の特段の事情がある場合には、権利行使者の指定が不要である場合があります(最高裁第三小法廷平成2年12月4日判決)。
したがって、B1、B2またはB3は、原則として、権利行使者を指定しなければ、株主総会決議不存在の訴えなどを提起して、Aの独断専行を是正することができませんが、例外的に、権利行使者を指定せずに、これらの訴えを提起できる場合があります。
なお、前述の最高裁判決においては、対象となっている「株式が会社の発行済株式の全部に相当し、共同相続人のうちの一人を取締役に選任する旨の株主総会決議がされたとしてその旨登記されている本件のようなとき」は、特段の事情があるとして、権利行使者を指定せずに、株主総会決議不存在確認の訴えを提起できるとしました。