株主の相続人間に争いがある場合の株主としての権利行使
A及びBが、ある会社の株式を、それぞれ50パーセントずつ有しているとします。Bが遺言を残さずに亡くなったところ、法定相続人B1、B2及びB3が、相続に関して争っていて、遺産分割協議を行うことができません。B1、B2及びB3は、どのような方法で、株主としての権利を行使することができるでしょうか。仮に、Aが、独断で会社経営を行っている場合に、それを是正する手段はあるでしょうか。
この点、遺産分割協議を経ていない株式は、当然に分割されるのではなく、法定相続人の共有(正確には「準共有」です。)となります(民法898 条、264条、最高裁第一小法廷昭和45年1月22日判決)。したがって、B1、B2及びB3は、会社に対して権利を行使するためには、会社に対して、三名のうちの一名を権利行使者に指定し、会社に通知する必要があります(会社法106条本文)。なお、法定相続人が合意できない場合には、法定相続分による多数決で権利行使者を指定できます(最高裁第三小法廷平成9年1月28日判決)。
では、B1、B2及びB3が争っていて、権利行使者も指定されない間に、Aが、株主総会を開かずに、株主総会で決議すべき重要事項を、独断で決定した場合に、B1、B2及びB3が、それを是正する方法があるでしょうか。
(つづく)