原始定款やその他の記録の閲覧及び謄写(2)(前回の続き)
株主や会社債権者などが、会社に対して請求を行ったり、株主としての権利を行使したりするためには、その前提として、正確な情報を得る必要があります。そのため、会社法は、株主や会社債権者などに対して、各種記録の閲覧及び謄写の権利を認めています。
(5) 株主総会議事録
株主及び会社債権者は、会社に対して、株主総会議事録について、 閲覧及び謄写を請求することができます(会社法318条4項)。また、親会社の株主は、その権利を行使するために必要がある場合には、裁判所の許可を得て、会社に対して、閲覧及び謄写を請求することができます(同法5項)。
(6) 取締役会議事録
株主は、その権利の行使に必要となる場合は、取締役会議事録について、 閲覧及び謄写を請求できます(会社法371条2項)。ただし、監査役設置会社及び監査等委員会設置会社等については、裁判所の許可が必要となります(同法3項)。また、会社債権者及び親会社の株主は、役員又は執行役の責任を追及するため必要がある場合には、裁判所の許可を得て、会社に対して、閲覧及び謄写を請求することができます(同法4項及び5項)。いずれの場合も、裁判所は、その取締役会設置会社又はその親会社若しくは子会社に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、許可をすることができません(同法6項)。そのおそれがあるか否かは、裁判所が判断することになります。
(7) 会計帳簿の閲覧又は謄写
総株主の議決権の100分の3以上の議決権を有する株主、又は発行済株式の100分の3以上の数の株式を有する株主は、会社に対して、具体的な理由を明らかにして特定の範囲の会計帳簿の閲覧又は謄写を請求する権利が認められています(会社法433条)。なお、会社は、当該株主がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行った場合等、一定の場合を除いて、閲覧及び謄写の請求を拒むことができません(同法2項)。また、親会社の株主は、その権利を行使するため必要がある場合には、裁判所の許可を得て、会社に対して、特定の範囲の会計帳簿の閲覧又は謄写をする権利が認められています(同法3項)。
(8) 大量保有報告書及び変更報告書
財務局及び証券取引所において、誰でも閲覧可能です。また、EDINET(Electronic Disclosure for Investors’ Network、『金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム』)により、提出された開示書類について、誰でも、インターネット上において閲覧できます。