原始定款やその他の記録の閲覧及び謄写(1)
株主や会社債権者などが、会社に対して請求を行ったり、株主としての権利を行使したりするためには、その前提として、正確な情報を得る必要があります。そのため、会社法は、株主や会社債権者などに対して、各種記録の閲覧及び謄写の権利を認めています。
(1) 定款
株主及び会社債権者は、会社に対して、定款について、閲覧及び謄本又は抄本の交付を請求できます(会社法31条2項)。また、親会社の株主は、その権利を行使するため必要がある場合には、裁判所の許可を得て、会社に対して、閲覧及び謄本又は抄本の交付を請求できます(同法3項)。
(2) 登記簿の附属書類
登記簿の附属書類(登記申請書及び定款等の添付書類)の閲覧は、法務局において、利害関係を有する者が、閲覧申請書において閲覧しようとする附属書類の名称を特定し、利害関係を明らかにする事由を記載し、利害関係を証する書面を添付して申請し、利害関係及びその事由が相当な場合に認められます(商業登記法11条の2、商業登記規則21条)。法務局での登記申請書及びその附属書類の保存期間は5年間です。
利害関係人であっても、法務局に対して、謄写は請求できませんので、カメラを持参し、その場で写真撮影をする必要があります。
例えば、原始定款には、会社設立時の株主が記載されているため、詐害行為取消権(民法424条以下)を行使する前提として、詐害行為を行った会社と、利益を受けた者との関係を調べる等のために、閲覧を申請する場合があります。
(3) 株主名簿
株主及び会社債権者は、会社に対して、請求の理由を明らかにして、株主名簿について、閲覧及び謄写を請求する権利が認められています(会社法125条2項)。なお、会社は、当該株主がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行った場合等、一定の場合を除いて、閲覧及び謄写の請求を拒むことができません。また、親会社の株主は、その権利を行使するために必要がある場合には、裁判所の許可を得て、会社に対して、閲覧及び謄写を請求することができます(同法4項)。
(4) 計算書類等
株主及び会社債権者は、会社に対して、計算書類等について、閲覧及び謄本又は抄本の交付を請求することができます(会社法442条3項)。また、親会社の株主は、その権利を行使するために必要がある場合には、裁判所の許可を得て、会社に対して、閲覧及び謄本又は抄本の交付を請求できます(同法4項)。
(続きます)