合同会社の設立について(1)
事務局の立場から、合同会社の設立についてご紹介します。
会社法上規定されている会社の設立形態には、株式会社、合同会社、合資会社、合名会社の4種類があります。
このうち、合同会社設立手続の概要(業務執行社員及び代表社員を定める場合)について、手続きの順にご紹介します。
①定款の作成(法575条1項)
・合同会社の定款は、株式会社の定款と異なり、定款認証(公証人が正当な手続きにより定款が作成されたことを証明すること)をする必要はありません。
・合同会社は、株式会社等と同様に、社員が1人でも設立することができます。なお、社員は、一般的な用語としては従業員を意味しますが、ここでの「社員」は、従業員ではなく、合同会社に出資した構成員のことを意味しますので注意が必要です。
・合同会社は、銀行、信用金庫、保険会社等の一部の法人を除き、法人も社員になることができます。
・社員は、定款に別段の定めがない限り、各自業務を執行する社員(業務執行社員)となります(590条1項)。社員の中から業務執行社員を定める場合、定款に業務執行社員を定める必要があります(591条1項)。
・法人が合同会社の業務執行社員になる場合には、当該法人は、その職務を行うべき者(職務執行者)を1名以上選任し、その者の氏名及び住所を他の社員に通知する必要があります。
・合同会社の設立登記申請は、司法書士が代理して行うことが一般的で、定款の作成も申請作業の一環として、司法書士が行うことが一般的です。ただし、社員の間の合意を定款に反映する場合など、弁護士が定款の作成、修正をお手伝いすることもあります。
②代表社員、具体的な本店所在地及び資本金の額の決定
・代表社員を定める場合、代表社員は、定款又は定款の定めに基づく社員の互選によって、業務執行社員の中から選ばれます(法599条3項)。誰が代表社員を選ぶのかについては、一般的には、業務執行社員であると解されていますので(松井信憲「商業登記ハンドブック第3版」612頁参照)、業務執行社員が代表社員を選ぶことになります。
・定款で具体的な本店所在地や資本金の額を決定しなかった場合、業務執行社員の過半数の一致によりこれらの決定を行います。
・代表社員、具体的な本店所在地及び資本金の額の決定は、通常、これらの事項を決定した旨の内容の書面を作成し、当該書面に業務執行社員が記名及び押印します。
(つづく)