公開会社におけるストックオプション (2)
株式の譲渡制限が付されていない会社(公開会社のことで、上場会社を含みますが、上場会社に限りません。)における新株予約権(ストックオプション)の付与において、次に検討すべきは、役員の職務執行の対価は原則として株主総会決議によって決めなければならないという報酬規制との関係です(法361条1項1号3号)。
役員に対するストックオプションは、報酬等のうち額が確定しているものであって、金銭でない報酬等に該当しますので、株主総会普通決議によって、その①額、②具体的内容を定めることが必要となります(法361条1項1号3号)。
①「額」(法361条1項1号)については、ストックオプションとして付与する報酬等の最高限度額を定めることになります(『会社法コンメンタール8機関(2)』180頁)。
一般的に、報酬額について、株主総会では取締役全員の報酬総額の最高限度のみを定め、その枠内で各取締役に対する配分を取締役会の決定に委ねるという取扱いも、判例は認めています(最判昭和60年3月26日判時1159号150頁、『会社法コンメンタール8機関(2)』162頁)。ストックオプションの場合も、取締役全員の総額を定めればよく、その配分を取締役会決議に一任することも許容されます(東京弁護士会会社法部『新・取締役会ガイドライン』130頁)。なお、取締役会は、更に具体的な配分を代表取締役に一任することもできます(最判昭和31年10月5日裁判集民23号409頁)
また、一般的に、報酬額については、株主総会で各事業年度の限度額を決定すれば、その限度額を変更するまでは新たに株主総会決議を経る必要はないと解されています(『会社法コンメンタール8機関(2)』162頁、『逐条解説会社法第4巻機関1』464頁)。
次回は、②「具体的内容」(法361条1項3号)についてご紹介します。