事務局から弁護士へ質問(22)-不動産に弁護士の関与は必要?(不動産取引その3)

前回までは、特殊な事情を抱えている不動産の取引を行う際は特に、弁護士へ契約書作成を依頼した方がよいことを聞きました。売主、買主どちらの立場でも、のちのトラブルに巻き込まれないようにするためにも、弁護士が契約書を確認する事は効果的なのだなと思いました。今回は、他にどのような場合に弁護士へ依頼すべきか聞いてみました。

事務局S (前回に続いて)取引の対象となる不動産が特殊な事情を抱えている場合以外に、不動産取引に弁護士が関与する場合がありますか?
今  津 はい。不動産を売買したり、賃貸したりする場合、不動産会社が仲介を行う場合が多いと言いましたが、不動産会社が仲介しない場合があります。特に賃貸の場合が多いと思います。
事務局S そのような場合があるのですね。
今  津 結構ありますよ。特に、法人と法人の賃貸の場合や、地主さんが土地を古くから地域の方々へ賃貸しているような場合に多いです。そのような場合、不動産会社が、契約書の作成に関与しませんので、より一層弁護士が関与する必要性が高まります。
事務局S 賃貸の場合、貸すだけですから、売買の場合よりも気軽に契約できますか?
今  津 そうでもありません。賃貸すると、借主には賃借権が発生します。例えば、土地の賃貸借の場合、路線価図には、都市部の住宅地では60%から70%、商業地では80%や90%といった借地権割合が記載されています。借地権割合は、借地権者の権利の割合のことです。ある土地の地価が100万円であり、借地権割合が70%であるとすると、借地権の価値は70万円ということになります。ですので、気軽に貸したとしても、借りた側に大きな権利が発生することになります。
事務局S そうなのですね。でも、例えば、1年間の期間を定めて貸せば、1年後には返してもらえるのですよね?
今  津 それも簡単ではありません。建物所有を目的とする土地の通常の賃貸借契約は、借地借家法により、当初の存続期間は30年と定められていて、また法定更新も認められています。また、建物の通常の賃貸借契約にも、法定更新が認められており、簡単に賃貸借契約を終了させることはできません。そのため、賃借権には財産的な価値があるとも言えます。
事務局S 不動産を簡単に貸すことができなくなりそうですね。
今  津 そういった弊害があるために、更新を認めない定期賃貸借契約を締結することもできます。ですが、定期賃貸借契約は、普通賃貸借契約では求められていない、法律上の要件を満たす必要があります。
事務局S 弁護士が、そういった契約書を作成することは多いのですか?
今  津 そのようなご依頼を頂くことは多いです。
事務局S 普通の賃貸借契約を、定期賃貸借契約へ変更するようなこともあるのですか?
今  津 そういったこともありますね。ぜひ、弁護士へご相談頂ければと思います。(次回に続きます。)